水銀灯・蛍光灯が入手できなくなる?

水銀に関する水俣条約

政府が2013年に署名した、水銀に関する水俣条約が2017年に発効し、具体的な規制が今年から実施されています。これにより水銀を使用した製品の製造と輸出入に対する規制が開始されました。国民の生活に最も影響が大きいのは蛍光灯や水銀灯など照明機器に使用されている水銀の問題です

現在のところ、水銀使用製品の使用や販売は禁止されていませんので、現在使用中の照明器具が使用できなくなるわけではありません。しかしながら「水銀を使用しない」という地球環境保護の観点からメーカーは期限を前倒して実際の規制以上にこの問題に真剣に取り組んでいます。 具体的には全ての大手電機メーカーは今年の3月で蛍光灯器具の生産をすでに完了しており、交換用の管球についても縮小、終息の方向を決めています。

大手メーカーの蛍光灯・水銀灯市場からの撤退

そのため、普及率の割に驚くほど近い将来に、水銀灯、蛍光灯の管球が入手できなくなる時代がやってきます。交換部品や管球が手に入らず、ところどころ歯抜け状態で放置されてしまうと、組織自体の健全性や信頼性が疑われるようなことになりかねません。

水銀廃棄物の適正処理

さらに、水銀を含む廃棄物である使用済みの水銀灯、蛍光灯について、その廃棄費用が顕著な上昇傾向にあります。これは従来は水銀が貴重な有価物であったことから100%のリサイクルが実施されていましたが、現在は水銀の需要が規制により下がり、水銀使用製品については埋設までの最終処分を厳格に求められるようになったためです。

水銀使用製品産業廃棄物の対象となる照明

蛍光灯

直管型、サークル型、電球型などFEFで始まる品番
また無電極蛍光ランプや冷陰極蛍光ランプなど

HIDランプ

高圧水銀ランプ(水銀灯)
バラストレス水銀ランプ
メタルハライドランプ
高圧ナトリウムランプ
その他産業用のHIDランプ

低圧放電ランプ

殺菌ランプ、ネオンサインなど

水銀廃棄物の適正処理

業の許可証

取り扱う廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」又は「水銀含有ばいじん等」が含まれることが必要です。
注)平成29年10月1日時点で、これらの廃棄物を取り扱っている場合、変更許可は不要です。

委託契約書

委託する廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」又は「水銀含有ばいじん等」が含まれることを明記すること。
注)平成29年10月1日以前に、契約締結している委託契約書については、新たに契約変更等をする必要はありません。

マニュフェスト

産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」又は「水銀含有ばいじん等」が含まれること、また、その数量を記載すること。

廃棄物保管場所の掲示板

産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」又は「水銀含有ばいじん等」が含まれることを明記すること。

帳簿

「水銀使用製品産業廃棄物」又は「水銀含有ばいじん等」に係るものであることを明記すること。

保管

他の物と混合するおそれのないように仕切りを設ける等の措置をとること。

処理の委託

  • 「 水銀使用製品産業廃棄物」の収集運搬又は処分の許可を受けた事業者に委託すること。
  • 水銀回収が義務付けられているものの処理を委託する場合は、水銀回収が可能な事業者に委託すること。

収集・運搬

破砕することのないよう、また、他の物と混合するおそれのないように区分して収集・運搬すること。

処分・再生

  • 水銀又はその化合物が大気中に飛散しないように必要な措置をとること。
  • 水銀回収の対象となる水銀使用製品産業廃棄物については、ばい焼設備によるばい焼、又は水銀の大気飛散防止措置をとった上で、水銀を分離する方法により、水銀を回収すること。
  •  安定型最終処分場への埋立は行わないこと。

弊社の教育関係のお客様から「地球環境保護の教育的な配慮からも先進的に取り組む姿勢を見せたい」という声をいただいております。

たかが照明、と思われるかもしれませんが、思わぬイメージダウンを招かぬよう、計画的な取り組みが求められています。

[参考]
Ministry of the Environment
外部リンク (水銀に関する水俣条約の概要 – 環境省)

外部リンク「事業者向け水銀使用ランプの分別・回収及び排出について」一般社団報人日本照明工業会
外部リンク「水銀廃棄物ガイドライン」環境省